夢の在り処

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第5話 ずっと

   空幻は何故か白蘭を気に入ったらしい。 白蘭も、なんとなく、空幻を気にしているように見える。あくまで桔梗の目には、だが。「引き込むお心算こころづもりならば分かりますが、これは……」「遊んでやっているようにしか見えねぇな」 白蘭ほ...
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第4話 幻武

   どこの国でも、「隠したいこと」のひとつやふたつはある。 国家テロを企てる宗教家だとか。核兵器を輸出しようとする研究者だとか。反社会的組織と繋がった政治家だとか。そういう危険因子の芽を早期に摘み取る、時の政府直轄の非公認警察組織...
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第3話 放物線

  「あ……」 紅茶を飲んでいたユニの視線が、エントランスの方へ不思議そうに向けられる。 それに気づかないγではなかった。声を抑え確認する。「敵か? 姫」「いいえ、お客さまです。どうして入ってこられないのかと思って……」「あ、空ちゃ...
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第2話 きょうだい

   つまり。「幻チャンって三人兄弟だったの?」「みんな幻ちゃんだから、その呼び名はおかしいのだ。オレは空幻なのだ」 頭が痛い。「ちょっとそこの金髪ハミ毛、他人に喧嘩売っといてダンマリとかふざけてんじゃないのこっち向きなさいよ」「姉...
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第1話 再会

   妙な町だと、改めて思う。 並盛町。これから戦場となる町。 だというのに、そんなことは気にしていないかのような、それを受け入れてしまっているような、これまでもこれからも何が起ころうと受け止めてくれるような、そんな土台としての力が...
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プロローグ 夢の在り処

  ──夢を見た、気がする。いつか、どこかの世界で、誰とも知らない人たちを裏切って、信じた神に殺される夢。どうしてこんな夢を見るんだろう。夢くらい素敵な世界でのんびり暮らしたい。 きょうだい揃って、ずっとずっと、幸せに。 ...
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